2008年11月23日日曜日

ギャラクシー・クエスト(Galaxy Quest)

ギャラクシー・クエスト(Galaxy Quest)は1999年公開。
ディーン・パリソット(Dean Parisot)監督によるアメリカ映画。
2000年度ヒューゴー賞(The Hugo Awards)獲得。
ドリームワークス(DreamWorks SKG)作品。

実はこの映画の存在を知ったのはごく最近です。
こういう映画が作れるアメリカの懐の深さを思い知った作品です。


概略

『スタートレック(Star Trek)』へのオマージュ全開のパロディ映画。

プロテクター号乗組員を演じる売れない俳優の二重構造に、
現実のスタートレックを絡ませた三重構造がストーリーを面白くしている。
前半ではSFシリーズと熱狂的なファンのパスティーシュで、
冷静にファンダムの在り様を描いている。
批判的にも見えるシーンは中盤からスペース・オペラ活劇(Space opera)に
なだれ込み、後半のマニア万歳で幕を閉じる。

実際のスタートレックの俳優や役に重なる部分は多々あり、
ウィリアム・シャトナー(William Shatner)演じるカーク船長の
ブリッジでの座り方から、お馴染みのセリフを言うなどのテレビシリーズの
場面に始まり、舞台で高い評価を受けている俳優をキャスティングするなど三重構造は多岐に渡る。

トレッキー(Trekkie)/トレッカーに対するクエスティー/クエスタリアンの区別がしっかりとされている。
実際エンタープライズ号の設計図や機構図が販売されており、
クエスタリアンの助けで船内の構造を知る場面などは、十分在りえる場面。
熱狂的なファン以外の一般社会の反応を描いていないところも含め、
SFオタクが製作した一流のSF映画である。


キャスト

ティム・アレン(Tim Allen)(ジェイソン・ネズミス/NSEAプロテクター号ピーター・クインシー・タガート艦長)
シガニー・ウィーバー(Sigourney Weaver)(グエン・デマルコ/タウニー・マディソン少佐)
アラン・リックマン(Alan Sidney Patrick Rickman)(アレクサンダー・デーン/ドクター・ラザラス)
サム・ロックウェル(Sam Rockwell)(ガイ・フリーグマン/プロテクター号乗員)
トニー・シャルーブ(Tony Shalhoub)(フレッド・クワン/技術主任チェン)
ダリル・ミッチェル(トニー・ウエバー/ラレド大尉)
エンリコ・コラントーニ(マセザー/サーミアンのリーダー)
パトリック・ブリーン(クエレック)
ミッシー・パイル(Missi Pyle)(ラリアリ/ジェーン・ドー)
ジャスティン・ロング(Justin Long)(ブランドン)
ロビン・サックス(サリス)
ジェド・リース(テブ)
ジェレミー・ハワード(カイル)
ケイトリン・カラム(ケイトリン)
ジョナサン・フェイヤー(ホリスター)


ストーリー

1979年から4年間放送された、宇宙探査局の活躍を描いた伝説的の
人気SF・テレビシリーズ『ギャラクシー・クエスト』。
放送終了から20年経った今も人気は衰えず、ファンダムのイベントが
行われるコンベンション会場は熱狂的なファン「クエスタリアン」で満員だった。
『ギャラクシー・クエスト』以降、あまりぱっとしないキャスト達は、
ファンへのサイン会やイベントを糧にして俳優生活を送っていた。

そんなある日、『ギャラクシー・クエスト』のイベント会場に、
グレーのボディースーツを着る変わった4人組が居た。
彼ら(?)は実は宇宙人サーミアンで、悪者宇宙人サリスとの戦争を
打開するため、プロテクター号タガート艦長に助けを求めに来たのだった。
だが、タガート役のジェイソンはプロモーターの出演依頼と勘違いし、
彼らのリムジンに乗り込む。

二日酔いのジェイソンが目覚めたのは宇宙船の中だった。
「嘘」の概念が無いサーミアンは、テレビ番組『ギャラクシー・クエスト』の
電波を自星で受信し、架空のドラマだとは思わずに歴史ドキュメンタリーと
信じて見ていたのだった。
番組の愛と正義と勇気と信頼の世界を手本に自分たちの文明を建て直し、
宇宙船プロテクター号さえも完全に再現していた。

地球に戻ったジェイソンは『ギャラクシー・クエスト』のメンバー達に
体験を話すが、単なる遅刻の言い訳として受け取られる。
サーミアンが再び、助けを求め現れる。
ジェイソンは「本物の宇宙船で宇宙戦争をする」という説明は一切無しで
新しい仕事の依頼だとしてメンバーを説得する。

2008年11月9日日曜日

ニコロ・パガニーニ(Niccolo Paganini)

ニコロ・パガニーニ(Niccolo [あるいはNicolo] Paganini,
1782年10月27日 - 1840年5月27日)はイタリアのヴァイオリニスト、ヴィオラ奏者(viola)、ギタリスト(Guitarist)であり、作曲家である。

人物

パガニーニはヴァイオリン(violin)の鬼神と呼ばれ、
当時はそのヴァイオリン演奏のあまりの上手さに、
「パガニーニの演奏技術は、悪魔(Devil Daemon)に魂を
売り渡した代償として手に入れたものだ」と噂されたという。
そのため彼の出演する演奏会では聴衆は本気で十字架を切ったり、
本当にパガニーニの足が地に着いているか彼の足元ばかり見ていた観客もいたという。
それどころか死後に教会から埋葬を一時拒否すらされ、
その遺体は各地を転転とする羽目になったほどである。

彼がヴァイオリンを弾き始めたのは5歳のころからで
13歳になると学ぶべきものがなくなったといわれ、そのころから自作の練習曲で練習していた。
それら練習曲はヴァイオリン演奏の新技法、特殊技法を駆使したものと言われる。

青年時代には、恋愛と賭博を好み、ナポレオン1世
Napoleon Bonaparte)の妹のエリーズ・ボナパルト
Elisa Bonaparte)とポーリーヌ・ボナパルト
Pauline Bonaparte)と浮名を流した。
賭博では、演奏会の前日に商売道具のヴァイオリンを
博打に大負けしてとられたことがある。

作品への態度

その徹底ぶりは凄まじいもので、自らの演奏会の伴奏を
担当するオーケストラ(orchestra)にすらパート譜を配るのは
演奏会の数日前(時には数時間前)で、演奏会までの
数日間練習させて本番で伴奏を弾かせた後、配ったパート譜はすべて回収したというほどである。
しかも、オーケストラの練習ではパガニーニ自身はソロを
弾かなかったため、楽団員ですら本番に初めてパガニーニ本人の
弾くソロ・パートを聞くことができたという。

このようにパガニーニ自身が楽譜を一切外に公開しなかった
ことに加えて、パガニーニの死後、遺族が遺品である楽譜の
ほとんどを処分してしまったため、楽譜が散逸してしまいほとんどの作品は廃絶してしまった。
現在では、無伴奏のための24の奇想曲や6曲のヴァイオリン協奏曲
(12曲あったといわれている)などが残されている(第3番~第6番が見つかったのは20世紀に入ってからである)。
また、同じ理由から弟子をカミッロ・シヴォリ一人しかとらず、
そのシヴォリにも自分の持つ技術を十分には伝えなかったため、
演奏の流派としてはパガニーニ一代で途絶えることとなってしまった。

パガニーニは、1800年から1805年にかけて表立った活動をやめ、ギターの作品を数多く作曲している。
これは、フィレンツェの女性ギター奏者を愛人としていたためといわれている。

作曲家への影響

シューベルト
シューベルト(Franz Peter Schubert)はパガニーニが
ウィーンに来た時、家財道具を売り払ってまで高いチケットを
買って(友人の分まで奢って)パガニーニの演奏を聞き
(ちなみに、この時にシューベルトが聞いたのが「鐘のロンド」
を持つヴァイオリン協奏曲である)、「天使の声を聞いた」と感激した。

金銭に関して執着しないシューベルトらしい逸話である。
この台詞は正確には「アダージョ(adagio)では天使の声が聞こえたよ」と言ったものである。
派手な超絶技巧よりもイタリアオペラに近い音色の美しさをとらえるシューベルトの鋭い感性も覗える。

リスト
またリスト(Franz Liszt)は初恋に破れ沈んでいた20歳の時に
パガニーニの演奏を聞いて「僕はピアノのパガニーニになってやる」と奮起し超絶技巧を磨いたという逸話もある(リストはヴァイオリン協奏曲第4番を聞いたといわれている)。

また、イングヴェイ・マルムスティーン(Yngwie Malmsteen)が非常に深い影響を受けるなど、HR/HMの世界に対する影響力は大きい。